岩屋山の麓に佇み、街並みを一望する絶好のロケーション。この眺望をいかに内側に取り入れ、くつろげる空間にするかにこだわりました。センスがあり、家づくりへの想いが熱いご夫妻。いつものSelect工房のアクの強さは控えめに(笑)、急勾配の敷地を生かしたスキップフロアの家をご提案しました。25畳のLDKを段差によって上下に分割。ダイニングテーブルに座って食事をするとき、段差に座り薪ストーブを囲んだとき、どのシーンでも気持ちよく景色が見えるよう窓や床の高さをコントロールしています。2階には9畳の展望バルコニーを設置。街並みや夜景、四季折々の山の景色がまるで額装された絵のように見えるよう、立ち上げた外壁に穴を開けています。緑に映える真っ黒なガルバリウム鋼板に覆われたスクエアの外観。玄関側は塗り壁や木をあしらい、見る角度によって雰囲気が変わるデザインです。梁や床は経年変化を楽しめるよう、オーク色にグレーを混ぜたオリジナル色で塗装。シンプルな空間ながらも、天井まで伸びる薪ストーブやアシンメトリーの照明が、空間に心地よいリズムを生み出しています。作り込み過ぎず、それでいて細部にまでこだわった空間は、「暮らしにあわせて、自分たちで家を作りたい」というご夫妻へのSelect工房ならではの回答です。

暮らしを楽しめるよう、あえて未完成な家にしてもらいました
妻の友人がオシャレな家を建てたと聞いて遊びに行ったら、そこにSelect工房の社長である佐野さんが偶然に(?)いたんです。それが始まりですね。その後、スタッフの猪原さんの家も見学させてもらい、遊び心ある家づくりに強くひかれました。勉強のつもりでハウジングセンターを見学したら、どれも普通の家ばかりで面白くない。佐野さんの人懐っこい笑顔とセンスを思い出し、ピカピカの家ではなく、経年劣化を味にできる家にしたくてSelect工房にお願いしました。最初は全てお任せのつもりだったんですが、いろいろとしたいことが増えてしまい、最終的には僕たちの希望をうまくコーディネートしてもらった感じです。当初は平屋がよかったのですが、傾斜地の魅力を活かすため、LDKのスキップフロアを提案していただきました。採用してよかったですね。天井が高く広いから、仕事から帰ってきて子どもと一緒に走り回ったり、ゴムボールで遊んだりできますし。テレビボードや棚などがなくて未完成のように見えますが、これは暮らしながら必要な場所に自分でDIYしようと思っているから。日曜大工が好きで道具も揃っているので、石窯を作ったり、薪小屋を作ったり、自分で作る暮らしを楽しみたいですね。
