東海道五十三次32番目の宿、白須賀。格子戸のある古い民家や間口の狭い家が続く、江戸時代の風情ある佇まいを残す場所。「とにかく目立ちたくない、周囲に溶け込む地味な外観にして欲しい」という、ちょっと変わったご依頼から家づくりがスタートしました。外観はいぶし銀のガルバリウム鋼板を使い落ち着いた雰囲気に。玄関周りに木をあしらうことで、優しさとあたたかみを演出しています。建物の形は、細長い勾配のある敷地を活かした縦長のL字型。玄関からリビング、スキップアップしながらダイニング、和室と続き、階段状に奥まで見通すことができます。家の奥に行くに従ってプライベート感が増し、和室から折り返すように2階の寝室、個室へと続きます。和室からは建物奥に設けたプライベートガーデンが見え、2階からは周りの家の瓦屋根が広がる趣ある風景を一望できます。スキップフロアによって生まれた階段&和室下には、大容量の収納室を設け収納問題も解決。内観デザインは外観から一転して、Iさまの若々しい元気な雰囲気をイメージした、明るくナチュラルな空間です。リビングにあるスモーキーアクア色の大きな黒板をご提案。奥さまが大きくなったお子さまに勉強を教えたいと、アイデアがふくらみます。一般的には難しい敷地でしたが、Select工房が得意とするスキップフロアを活かし、町並みに調和した暮らし心地の良い家が完成しました。

僕たちを理解して、一緒に家づくりを楽しむ姿勢がうれしい
職場が白須賀にあって、ずっといい町だなと思っていました。ここの土地を見つけたとき、他の住宅会社の方が、この形ならこの間取りとカタログ的に提案して興ざめしたのを覚えています。Select工房さんは、勾配を活かした面白い家ができそうな敷地ですねとおっしゃって、捉え方が全然ちがうんだなと。OBさんの家を見せてもらって、一目惚れ。そこを手がけられたプランナーの猪原さんのセンスにお任せしました。間取りや素材など、ほとんど提案された内容です。玄関にあるニッチは結婚式のブーケを飾る場所です。マンション暮らしでは飾るところがなく押入にしまっていたので、新築時にはぜひ飾りたいと思っていました。そんな話に共感していただき、とても素敵に仕上げてくれました。洗面ボウルはSelect工房さんで家を建てた陶芸家さんによるもの。面識はありませんが、こんな形で繋がるのもいいですね。この町が好きなので、陽当たりがいいウッドデッキを使って、友人を招いたにぎやかなBBQをするのもいいのですが、まずはのんびり家で過ごそうかと思います。プライベートガーデンをいじったり、町の寄り合いやイベントに参加しつつ、ゆっくりとこの町の住人になっていきたいですね。
